昼休みの1冊





「神はサイコロを振らない」
10年前に行方不明になった飛行機が、科学者の予想通り現代に戻ってきた。
ただし3
日後にはまた消えてしまうとも予測されて。大石英司と言えば
自衛隊がらみの作品しか読んでこなかったので、こん
なSFみたいのも書くのかと。
3日間の家族とのやりとり
や、起こった事は悲しくも感動的でよかった。
エピローグのタ
イトルの言葉もなるほど、と。



「神様の御用人8」
今回は3つの話。お稲荷さんで狐を祀るのは知ってたけど、狸を祀る社があるのは知らんかった。
眷属に梟と蛙がいたり、八幡さんの話では坊さんbarやってたり、このシリーズで久々に爆笑した。




「飛行空母を追え!」
アメリカ空軍が国内でも極秘に製造した空飛ぶ空母が、メインコンピュータを
ハッキングされ、テロの道具にされる。空自の精鋭も巻き込んででの
奪還は面白いけど、専門的な事も多くて、本来の半分くらいしか楽しめてないかも。




「レトロゲームファクトリー」
昔懐かしファミコンの架空のゲームを移植するために、プログラマー達が謎を
解くのに奔走する。そこにいろんなヒューマンドラマも入って、嫌いじゃない展開。
解析していくシーンは、その辺りをわかってる人ならもっと面白いのかも。
ここに出てきたように、子どもって遊びのルールを独自に作り上げていく才能をみんな持ってたよな。



2018年12月



「ガンルージュ」
元公安の母親と元公安の元カレがいた女性教師が、子供を助けるために、特殊部隊に立ち向かう。
突拍子もない話に、都合のいい展開ではあるけど気持ちいい。




「嘘ですけど、何か?」
雑誌の女性編集者が、ばったり会ったエリートと関係を持つが、テロをきっかけに怪しい方向に。
けっこうなはちゃめちゃながら、テンポがいいので読みやすい。読み終わってから作者が木内一裕と
気付いて納得。




「原発サイバートラップ」
なかなかややこしいのと、テロを起こす目的がほぼ最後までわからないからイマイチ入りこめない。
犯人は途中でコイツじゃないかと思ったのとほぼ合ってたから、そこは楽しめた。
実際にサイバーテロが起きたら、この本のように日本は何もできずに慌てるだけのような気もする。




「暗幕のゲルニカ」
久々の原田マハ作品。こんなサスペンスも書けるとは。ゲルニカを巡って過去は女性芸術家と
現在は女性キュレーターの目線で話が進む。過去は当然ある程度創作やろうけど、
実際に起こったのではと思わせる。ゲルニカを引っ張ってくる秘策が語られなかったのが、
ちょっと残念。


2018年11月



「ジャッジメント」
凶悪犯に対して、関係者が同じ手段で報復ができる復讐法が成立した想定の話。
かなり無茶な設定ではあるけど、被害者家族としては、こういう気持ちになる事も
あり得るのではないだろうか。本の中では、自分で執行しなければならない状態で、
葛藤や真実が重く書かれててなかなかヘビー。




「イリュージョン 最終版」
この本の一つ前に、マジシャン最終版と言うのがあってそれの続編らしい。久々に
里見沙希が出てきたけど、登場シーンは少しだけ。万引きはあかんけど、
子供が生活する術と、注目をあびる刺激を知ったらやってしまうかも、
と言う気持ちはわからないでもない。それでも読了感は清々しい。


2018年10月


「時間を止めてみたんだが」
変顔をして息を止めると、その間時間を止められる事に気づいた高校生が、能力を使って
クラスメイトの胸を触ろうとしたことからいろんな事件に巻き込まれる。なぜかちょっと
ほのぼのもするコメディサスペンス。




「東京カジノパラダイス」
お台場に初のカジノができる、と言うこれから起こりそうなシチュエーション。
外国人にわざわざ日本のカジノに来てもらうための手として、丁半博打を
導入しようと官僚と戦う主人公。ギャンブルの持つ裏側も知ることができて面白い。




「結婚相手は抽選で」
25歳から35歳は、抽選でランダムに選ばれた人とお見合いをしないといけない法律ができる。
断る事が出来るのは3回まで。突拍子もないけど、小説として面白い着眼点で楽しめた。




「深淵の覇者」
ソナーに感知されない装備をつけた海自の潜水艦と、中国の超高速潜水艦の
息詰まる攻防プラス、主人公の恋人で、亡くなった潜水艦乗りの事故の
真相を突き止めるミステリ要素もあって、かなり面白かった。細かい描写で、
理解できないところもあったけど、不要な箇所がなくスピーディな展開にこれも満足。


2018年9月



「バッドカンパニー」
表向きは普通の人材派遣会社だが、裏では方を犯すことは全く気にせず、
なんでも請け負う。ショートストーリーとは言え、ちょっと単純すぎて物足りない。



「下町ロケット2 ガウディ計画」
文庫化待ってたやつ。ロケットのバルブを請け負ったものの、ライバル会社が
現れ窮地に。並行して新しいものに挑戦する技術屋魂で、心臓の人工弁の
開発にも着手する。医科大学と医療メーカー、役所のつながりが壁となって
障害ばかり。これを突破するのが面白い。



「震える牛」
事件発生から時間が経った案件を担当する刑事が、1つの案件を任される。
地道な捜査で新たな証拠を見つけ出して犯人にたどり着く。
いろんな策略が渦巻いて、どんでん返しもあって、且つ骨太な作品。

2018年8月



「真実の檻」
自分の父親が本当の親でなく、本当に父親は死刑囚として服役中と知った
主人公が、冤罪の可能性を信じて真実をさぐる。結末はなかなかヘビーな
ものやったけど、しっかりした作品でおもしろかった。



「推定脅威」
「リヴィジョンA」の前の話。「リヴィジョンA」はお仕事物のような感じやったけど、
こっちは航空ミステリ。構造上の欠陥をついて罠を仕掛けるとこも、主人公が
人脈を作っていくとこも面白くて、この状況を知った上でもう一度「リヴィジョンA」を
読むと、別の面白さがあるかも。



「100万分の1の奇跡」
なんの取り柄もない会社員がバイク事故で死んだが、神様の総元締めが
自分の暇つぶしに88日間生き返らせてのりうつる。会社員は88日間の
命と知りながら、仕事を頑張っていい方向に。途中死神とのくだりは、
神様の威厳を示すにはいいかもしれんけどちょっといらんかったな。

2018年7月



「リヴィジョンA」
架空の国産戦闘機で、複座を単座に変えるために、メーカーの技術者が様々な
壁にぶつかりながら一丸となって目的に邁進する。上手く行きすぎなところも
あるけど、仕事をするにあたって人との繋がりが大事である事を再確認させられる。
この話の中にも出てくる、自衛隊機事故の話しが先に出版されているみたいなので、
これも読もっと。



「誤算」
ヒモのような男と離婚して病院もやめた看護師が、一代で財をなした病人の世話をするために
住み込みで働く。娘たちは財産の行方だけを気にする中、主人公が巻き込まれていく。
「誤算」というタイトルもなるほどと思えて、まあまあ面白かった。



「すずらん通り ベルサイユ書房 リターンズ!」
リターンズというから2作目やけど、こっちのほうが面白そうやったんで。
オスカルのような店長がいる書店で、写真集のサイン会が脅迫によって中止に。
店長の命令で店員が犯人を探しにいくが、いろいろ寄り道をするなかでの
推理やけっきょくは突然でてきた人物が犯人という好きじゃないタイプ。




「森は知っている」
身寄りのない子供が諜報員として育てられ、高校生で正式に組織の一員と
なる過程でのストーリー。誰が裏切り者なのか二転三転するところは
面白いけど、人のつながりがあまり描かれていなくて、ちょっと中途半端。
続編もあるみたいやけど、どんなもんか。


2018年6月



「ヒーローズ(株)」
ある事がきっかけて仕事を辞めてアルバイトをしていた主人公が、ヒーローを
作るという会社に会社に入る。もっとお仕事小説かと思ったけど、軽いタッチで
ちょっと物足りなかった。



「マル暴甘糟」
マル暴のくせに、刑事に見えないひ弱な容姿と気の弱さの主人公。
上司に脅されながらも巧み(?)な話術で本質に迫る。思ってた以上に
面白かったのと、あとがきで以前読んだ任侠シリーズの毎回ちょっと顔を
出してた刑事とわかって、なおさら面白みが増した。



「学校ジャック」
学内でも優秀な4人が学校を救うつもりで立て篭もったが、建物を管理する
コンピューターに支配されてしまう。過去の事件を解決するために4人で助け合う。
謎の結果が、そんなんあり?という内容でちょっと残念。



「老後の資金がありません」
少しずつ貯めてきた貯金を、娘の結婚式と義理父の葬儀代であらかた使い、
夫婦そろってリストラにあう。旦那は切迫感がなく、更に義理母を引き取ることに。
ちょっとスリリングな事も起こりつつ、何にお金をかけるべきかを考えさせられる。


2018年5月



「クラウド・ナイン」
とてつもないデータ量が日々蓄積される中、巨大企業のデータセンターが限界に近づく。
パニック物かと思い来たミステリ物やった。肩すかしをくらった感じでちょっと残念。今あるデータが
全部飛んだら、世の中どうなってしまうんやろか。



「ツボ押しの達人 下山編」
前に読んだツボ押しの達人の、昔にカルト教団を壊滅させた時の話を聞くという体の下山編。
両方読むと面白さが増すけど、やっぱり主人公が天才として技を次々繰り出した前回の
方が痛快。



「ヒトラーの試写室」
史実を基に書かれた、円谷英二の弟子がタイタニック沈没のシーンを撮るために
ナチスドイツに呼ばれて単身ドイツに渡るストーリー。
特撮の方法を考え出すくだりは面白いけど、やっぱり時代的に暗く重い。
それにしてもあの時代、日本の特撮は世界の最先端を走っていたとは
知らんかった。

2018年4月



「羊と鋼の森」
ピアノに全く興味のなかった高校生が、学校の体育館にあったピアノの調律をする
調律師に出会ったことで、調律師になった主人公の話し。調律も人によって考え方や
やり方が千差万別なのが面白い。音の捉え方が森の風景に見える主人公が、
少しずつ自信をつけていくお仕事物語。タイトルの意味が読んで行くと納得できる。



「ザ・ブラックカンパニー」
無職の主人公が、ハンバーガーチェーンの社長に声をかけられて正社員に。そこに店長が
急死をしたことで、いきなり店長になる。家にも帰れず休みもない。残業代も出ないが、
本人は初めて人に認められたことが嬉しくて、一生懸命に働いている。ブラック企業として
糾弾され窮地になるが・・・。自分が好きで働きづめになるのはいいけど、それを人に
押しつけたらブラックになる。成長は大事やけど、人があっての会社ということを
忘れたらあかん。



「天空の救命室」
航空自衛隊のC-130にICU並みのユニットを備えて、患者を長距離移動可能な部隊の話し。
ちょっと頼りなさげな主人公が、パイロットとぶつかりながら成長していく。好きな作家の
福田和代と自衛隊やけど、こhっとゆるめで気負わず読めた。


2018年3月



「そして僕らの僕等の初恋に会いに行く」
主人公が高校生の時に、あるきっかけで初恋の告白を8mmで撮って、初恋シネマという
映画を学園祭で上映しようとしたけど、学園祭が中止になってしまう。それぞれが大人になって、
過去と現在を織り交ぜながら初恋に対してもう一度見つめなおすストーリー。



「約束の海」
山崎豊子の遺作で、自衛隊の潜水艦乗りが主人公というので買ってみた。
めずらしく1冊ものかと思ったら、この第1部を書き上げたところで亡くなったと。
これから面白くなりそうな展開だけに残念。


2018年2月



「ポスドク」
大学の非常勤講師(ポストドクター)をしている主人公が、専任講師になるべく頑張るが、
様々な困難がたちはだかる。同居する小学生の甥っ子や、おかしな研究ながりしている
専任講師、アパートの住人などそれぞれのキャラもいい。お笑いあり、サスペンスあり、
ハートフルでもありで、ちょっと面白い。



「都庁爆破!」
テロリストが都庁に入りこみ、爆弾を仕掛けて乗っ取る。この前実際に都庁に行ったけど、
ちょっとやそっとじゃ崩壊しそうにない。都知事と総理の対立は、本当にこんな感じに
なるんじゃないかと。いろんな思想が絡みすぎてて、ちょっとややこしいのが残念。



「1981年のスワンソング」
1981年にタイムスリップした主人公が、その時期にまだ発表されていない
ヒット曲を、売れていない2人組に提供して一大ムーブメントを起こす。
これだけみるととんでもない話やけど、読み終えるとなかなか良かった。
タイムパラドックスをまるっきし無視の終わり方もまら一興。

2018年1月