昼休みの1冊





「高校事変Ⅳ」
弟が殺人を犯した上で自殺したと告げられ、証言から真相を理解した
ところから大きく話が動いていく。今回も学校の中でバッタバッタと
人を殺していく凄まじい展開で感覚も麻痺していく。次はどんな展開
なのか楽しみ。



「戻る男」
タイムトラベルものの小説を数本書いた作家に、高額な費用でタイム
スリップを体験させるという話が舞い込む。ただし行けるのは過去だけで、
当時の自分の体に今の自分が入るという。1度体験した主人公が、2度3度
体験する事で、真相が明かになっていく。これまでに無いタイムトラベル
もので、全てに納得できるわけではないけど、考え方としては面白かった。



「科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました」
エセ科学を許せない主人公が、マイナスイオンを取り扱う部署に異動に
なった話。もっと面白おかしいストーリーなのかと思いきや、ちょっと痛い
感じ。でも読み進めるとそれには訳があった。自分が信じるものを人に
理解してもらう事の難しさ、伝わらない事のもどかしさ。最後はちょっと
救われたかな。



「Dの遺言」
戦時中に集められたダイヤモンドがどこかに隠されているというメッセージを
もとに、4人が謎を解きながら妨害にも遭いながら探すというアドベンチャー系。
横取りしようとする奴らがちょっと抜けてる感があったけど、お宝を探す経緯は
面白かった。この前作がM資金の話らしく、そっちも気になる。


2019年12月



「開かない錠はありません!」
鍵屋がいろんな難しい錠前を開けるのかと思ったら、小さい町での小さな
事件を解決する話やった。どうも2冊目らしく、人間関係がわからん部分も
あり、ちょっとモヤモヤ。



「誘拐遊戯」
誘拐犯の指示に間に合わなかったために、被害者が殺され警察を辞める
ことになった主人公に、同じゲームマスターを名乗る犯人から呼び出され
誘拐事件に巻き込まれる。二転三転して、途中のヒントには気づけたけど、
犯人がわかるまでには至らず、最後にびっくり。だいぶん狂気な世界で、
スッキリとはしないけど面白かった。



「真壁家の相続」
仲の良かった親戚が、親の死をきっかけに小さい家の相続で揉めはじめる。
往々にして親の面倒を見た家族と、それ以外の家族での思いの違いから
普段は口にしない事まで言ってしまう。まあどこもこんな感じなんじゃないか。
この物語のような落ち着き方のほうが稀で、実際に経験した人はそんな風には
なーと思う人が多いのでは。


2019年11月



「高校事変Ⅲ」
第3弾、敵はついに外人部隊に。迎え撃つ高校生も順応があって、
平和ボケしている日本では有り得ない状況だからこそ面白い。ある一定の
壁を自分で乗り越えてこそ自信が生まれるというのが、ものすごくわかる。
フィクションならではの爽快感。



「ホームズの娘」
シリーズ3作目。2作目よりは面白かったけど、三雲家の面々の活躍がほぼなく、
うーん。華の前例があるから渉のハードルも異様に低かったし、まあハッピー
やからいいんやけどね。まだ続くなこれ。



「全能兵器AiCO」
AIがステルス機を操り、教導隊に在籍してたパイロットと戦うストーリー。
途中までは良かったけど、最後が想像以上にあっさりしててちょっと消化不良。
もっと対戦してそれぞれがスキルを上げていくのかと思ってた。まあそうすると
人間は勝てなくなってしまうだろうし、ある程度しかたないか。


2019年10月



「ひなた弁当」
会社をリストラされた主人公が再就職を探す中、ふとしたことから街中に
ある野草や川魚を取って調理して、弁当として販売出来ないかを思いつく。
サラリーマンとして縛られなくなり、ストレスは無くなり、人との繋がりが
広がっていく。人生大逆転という程ではないけど、こんな生活もいいかもと
思える。



「石つぶて」
外務省のノンキャリアが機密費を数億円使い込み、それを捜査2課の
刑事が追う。途中まで読んで、会社や人物がえらい実名で出てくると
思ったらノンフィクションやった。裏書きにもノンフィクションとは
書いてなくて、文調も小説っぽかったのでびっくり。当然当事者への
取材はしたやろうし、よくここまで書けたと思う。地道な捜査がしっかり
書かれてて、それ故に派手な面白さはないが、リアルさはバッチリ。

2019年9月



「マル暴総監」
この作者のヤクザ物にちょくちょく脇役で出てくる甘糟が主人公の第2弾。
前作ほど他を出し抜いてという程ではなくて、今回は先輩が筋道を立てて
そこに知らん間に乗らされてるという感じ。色々いる登場人物がそれぞれ
面白くて、ラストもニンマリ。



「高校事変Ⅱ」
とんでもない女子高生シリーズ第2弾。今回は公安の目を盗む必要は
あるものの、開けたフィールドでの戦いなので前作よりは制限が緩く、
その分手法も大掛かりで面白かった。悪人を躊躇なく殺すという、
フィクションならではの爽快感がある。この人書き始めるとスピードが
速くて、9月には第3弾が出るので楽しみ。



「ルパンの帰還」
ルパンの娘の続編。前作がものすごく面白かったんで期待したんやけど、
すごく普通。しかもまだ続くみたいで、そこでドカンと来るのか、
このまま普通で終わるのか。次作は誰かのレビューを見てから読むか考えよ。



「お騒がせロボット営業部」
アシモやペッパーに比べると、断然機能に劣るロボットを販売する営業
ウーマンが主人公。そのロボットが車を傷つけたり、振り込み詐欺の
容疑者にされる度に、「いやいやいや、そんな高度な事出来ないから」と
ツッコミを入れる営業と開発陣(笑)ロボットをメインにした軽い
ミステリもの。


2019年8月



「真夜中のマーチ」
偶然知り合った3人が10億円をかっさらおうとあれこれやってみるけど、
都度想定外の事が起こってそれをくりかえす。スピード感はあるけど、
意外性にはちょっとかけるかな。



「計画結婚」
超美人であるが故に 、見た目だけなんでしょと男を信じられなくなった
主人公から、結婚式の招待状が届く。章ごとにいろんな人の視点から
主人公を見るのが面白い。しかも最後はそう来るか!と言う終わりで、
想定外すぎた。でも面白い。



「猫河原家の人びと」
猫河原と言うから、猫が何か関連してるのかと思って買ってみたけど、
主人公が謎を解き明かす時に「ふにゃ~ぁ!」と言うだけやった(笑)
短編だからなのか、プロット的にも、おぉ~と言うのも別になく、まあ普通。



「BUG 広域警察極秘捜査班」
冤罪で死刑判決を受けた主人公が、執行直前で非公式な捜査班に加わる
条件で助かる。逮捕のきっかけにもなった、10年前の事件と関わる事になり、
冤罪をはらすために行動にでる。 久々の福田和代作品。相変わらず女性が
書いたと思えないハードっぷり。絶対続きあるやん、というラストに
ちょっと悶々とする。


2019年7月



「高校事変」
松岡圭祐久々のアクションヒロイン登場。しかも千里眼シリーズの
岬美由紀よりはるかに若い女子高生が、無慈悲にテロリストを殺していく。
現実に起こったらとてもそんな事は言えへんけど、フィクションゆえに
ある意味爽快感もある。問答無用的な。早速来月に続編が出るみたいなので、
それも読んでみよ。



「宝の地図をみつけたら」
小学生の頃に祖母の話を盗み聞きして、埋蔵金探しをしていた2人が、
大学生になって再び探しだす。途中で詐欺グループが絡んできて、
そこから話がややこしく。もうちょっと純粋に宝探しの方が良かったかな。


2019年6月



「都立水商1年A組」
前作から20数年後の話。今回は1年生としてだからか、あまり大きな
サクセスストーリーは無くて、ちょっと物足りないかな。主人公と
生徒会長のその後が気になる。



「わが心のジェニファー」
アメリカ人の青年が、日本びいきの恋人にプロポーズをしたところ、
1人で日本を旅をしてくるのが条件と言われる。京都、大阪、九州、
東京、北海道とあちこち周るんやけど、途中からちょっとファンタジーと
いうか、変な状況になる。もうちょっと日本のいい所悪い所をあぶり
出していくのかと思ってたので、モヤモヤ感が否めない。



「夫のカノジョ」
夫の浮気相手らしい女性と入れ替わってしまうファンタジー。
年齢も性格も全く違うが故に、日常での人との関わりに大きな
変化が出てくる。また自分の立ち位置を第3者の目で見る事で、
良かれと大きな思ってやっている事が、果たして相手のために
なっているのか色々と気づかされ、最終的にいい方向に向かっていく。
なかなかいい物語でした。


2019年5月



「ウィザードグラス」
タブレットとウェアラブル端末が突然送られてきた主人公。付けてみると、
視界に入る端末の検索履歴が自由に見る事ができる代物だった。
実際に起こり得そうな内容と、現代人がどれだけスマホやタブレットに
依存して、振り回されているかを思い知らされる。最後に、同じ作者の
前に読んだ作品に登場人物が出てきて、こんなとこにつながるかーと。



「バベル九朔」
うーん、当然ファンタジーなんやけど、最後まで読んでも結局何が
どうなってるのかほとんどわからなかった。単に読解力がないだけやろか。



「BABEL」
突然日本国内で、日本脳炎に似た病気が蔓延して、言葉を失った人が
数千万人規模になり、感染者と非感染者を住み分けさせるという
ストーリー。クライシス系ではあるけど、言葉というものがどういうものかを
考えさせられる。


2019年4月



「立川忍びより」
借金返済の利息がわりに、祖父が勝手に決めた許嫁の家に行かされた
主人公。その家は代々忍の家で、現代も人知れず忍として暮らしていると
言う、なかなか突飛なストーリー。アイドルや中華や吸血鬼などが
ごちゃまぜで、面白くない訳ではないけど、もうちょっと一本通った
ものが欲しかった。



「弊社より誘拐のお知らせ」
会社が合併しようかと言うさなか、名誉顧問が誘拐される。
要求は身代金と合併の解消。身代金を会社が払うと、どのような
処理が必要なのか。そんな事考えた事もなかったので、なるほど~と。
ラストは想像をはるかに超える内容で、面白かった。



「少数株主」
非上場していない同族会社の少数株主の1人が、知り合いに株を
買ってほしいと言ってくるところから始まる。非上場の株は自由に
売買ができないとは知らなかった。それを株主が有利になるように
していく話なんやけど、団塊の世代が主人公のせいか、これいる?と
いう内容が多くてイマイチ。もっとどういう風にして進めていったか
を書いてほしかった。


2019年3月



「神酒クリニックで乾杯を」
入院する事を知られたくないようなVIP達が来るクリニックに勤め
始めた主人公が、まだ更にその裏稼業に引きずりこまれていく。
登場人物もそれぞれに特徴があって、みんなが面白い。ちょっと
バレバレな点もあったけど、それはわざとか?続編も出来そうな
作りなので期待したい。



真夜中の意匠」
アリバイを崩しても崩しても新しいアリバイを出してくる犯人と
思しき人物。最初の証人は電話交換手。ん、いつの話し?と
思ったらこれが書かれたのは50年ほど前らしい。裏書きを読んだ時は、
ちょっとコメディなんかと思いきや、しっかりミステリやった。
最後になるほどね〜と納得させてくれた。


2019年2月



「ホンダジェット」
プライベートジェット機といえばガルフストリームを思い浮かべるけど、
実際はカテゴリが違うと今回知った。元々本田宗一郎が夢として
描いていたものを、本人にも極秘でプロジェクトが始まる。ホンダらしい
他と同じモノは作らないという考えで、世界の航空業界が驚くシロモノを
作り出していく、技術的、人間性、組織の動きどれを取ってもすごい
ドキュメンタリー。



「総理にされた男」
総理大臣に瓜二つで劇団でモノマネの前説をしている主人公が、
ひょんな事から総理大臣の替え玉にされてしまう。官房長官と
友人の助けを借りながら、難局を乗り越えていくのは、安易な
展開ながらドキドキして面白い。話中で何回も出てくる、
「政治家になった時の気持ち」を現役の政治家に思い出してほしい。



「継続捜査ゼミ」
元警察学校の校長が、女子大で教鞭をとる。そのゼミで、未解決事件を
女子大生とともに再考して、解決に迫るストーリー。5人の女子大生が
それぞれ得意分野を持っていて、知らず知らず真相に迫っていくのが面白い。
これは続編も期待できそう。


2019年1月