昼休みの1冊





「能面検事」
ある事がきっかけで全く感情を表に出さない大阪地検のエースと呼ばれる検事に、
新米の女性事務官がつくことになり、会った瞬間に不適格の烙印を押される。
送検されてきた被疑者に対して、自らの捜査で真実を明らかにしていく。
大阪府警の大スキャンダルの引き金を引き、自らも打たれるが。。。この作家の小説は
いくつか読んだけど、いつもスピード感があり内容もしっかりしてる。今回もめちゃくちゃ面白かった。




「東京藝大仏さま研修室」
東京芸大に仏像の保存を勉強する研究室が本当にあって、そこの学生の日常を小説にした。
模刻するのが主な勉強というのでその工程は面白かったけど、もっと芸大らしい
破天荒な人物が出てきても良かったかな。1人に絞ってもっと掘り下げるともっと楽しめたかも。



「人間タワー」
ある小学校の運動会でやる人間タワーを軸に、いろんな人からの目線で描かれる。
もっと殺伐とした展開なのかと思ったら、敢えてそこまで掘り下げてないので穏やか。
危険だからやめる、伝統だから続ける、どちらが正解というのが無いだけに
みんなを納得させるのは難しいけど、より良い方向に持っていく努力は必要と思わせてくれる。


2020年12月



「修学旅行は世界一周」
ゲームとアニメ好きな引きこもり気味の主人公が、一人で世界1周の修学旅行に出る。
初めての海外旅行が一人で不安な中、行く先々で助けられて旅の面白さを知っていく。
実際にやったらこんなラッキーは続かんやろうけど、そこは小説といことで受け入れると楽しめる。
第1章でひょっとしてと思ったのがやっぱりで、ちょっと安易ではあるけど、そこも含めて面白かった。



「高校事変\」
ついに元凶とも言える相手と対峙する。あらゆる人間が疑わしくなってくるほど周りは敵だらけ。最後は、
こんな方法で決着つけるの?となったけど、まあそんなわけもなく。やっとこれでシリーズ終わり、と思ったらまだ続く。




「読心刑事 神尾瑠美」
県警の捜査一課にいる女性刑事がテレパス故に真犯人がすぐ分かり、検挙率は高く残業も少ない職場。
そこに配属された新人と周りの刑事の話。心の中を読まれても気にならない人しか
同僚になれないと言う、そういう意味では厳しい職場なのか。真犯人はわかっても証拠は必要で、
どうやって証拠を探す(作る?)かが面白いところ。ライトでサクサク読める。




「諦めない女」
ちょっと目を離した隙に娘が行方不明になった。当事者の話や、実際の状況が描かれていて、
第2章に入った途端に「へっ?」となった。親の気持ちもわかるし、子供の気持ちもわかるけど、
なんとも難しい。実際にあったらと思うと怖いしモヤモヤもするけど、タイトルもいろんな所に掛かってて面白かった。



2020年11月



「定年オヤジ改造計画」
男は仕事、女は家事。そういう考え方の定年退職した主人公が孫の世話をすることになって、
娘が容赦無く男のダメ出しをすることで女性の本当の気持ちを知ることになる。
徐々に自分で動くようになって変わっていき、自分のコピーのような
息子に意識改革をさせるようにまでなっていく。最後はちょっと救われる気分。




「ストラングラー/死刑囚の推理」
元警察官で4人を殺害して死刑宣告を受けた囚人が、自分の恋人を殺された刑事に冤罪を
はらすよう依頼をする。怪しい人物が数人現れるが最後読み終わった
瞬間に「えー!」と声を上げてしまった。納得できない人は全く面白くないと思う。そこまでは言わんけど、う〜ん。。。




「ルパンの星」
ルパンシリーズ第4弾。今回は2軸で話が進み、娘の杏ちゃんのパートと美雲の都落ちから
復活するパート。Lの一族の活躍が今回もなくてワクワク感はちょっと低い。



2020年10月



「高校事変[」
前作がなかなか無理目な感じやったのが、今回は手製原爆まで出てきて、突拍子無さMAX。
全く思ってない展開やったけど、面白い方向なのでそれも良し。今回こそ窮地に立たされたのに、
ラストあんなどんでん返しで乗り切った。相変わらず動きには何かの意味がある。間違いなく次作もあり楽しみ。




「S&S探偵事務所 最終兵器は女王様」
前に読んだ「サイバーコマンドー」に出てきた2人の後日譚。2人で探偵事務所を開いて、
強みのIT絡みで仕事をする。新しいキャラクターも出てきて、面白いけどもうちょっと
破天荒であってもいいかな。好きな作家の本で、3ヶ月連続で文庫化なので、とりあえず全部読むぞと。



「罪の声」
グリコ・森永事件をモチーフに、名前や行動についてはフィクションながら起こった日時や
メディアに出した挑戦状の文言は実際のものを使ってる。
身代金の置き場所を指定した録音の声が、自分の子供の時の声であることに
気づいた主人公と、新聞社の企画で事件を掘り起こす記者の両面から描かれる。
実行犯を探し出すところまで書かれてて、本当にこうだったんじゃないかと思わせる。
声を使われた子供のその後が、なかなか重いのも更に真実感を出してる。読み応えあり。


2020年9月




「再雇用警察官」
定年後再雇用された元刑事が、失踪者で事件に巻き込まれたと思われる人を
対象として捜索にあたる新しい部署に配属される。最初の仕事は
自らの意思で行方をくらましたと思われた矢先に事件性が疑われる事態に。
いろんな人が絡みあって面白いけど、真相を解くのが決め手があるわけではなくて、
予想から自白させる点がちょっと残念。




「万能鑑定士Qの事件簿0」
いきなりQが帰ってきた。この作者シリーズを何の前触れもなく終わらせることが多い中、
万能鑑定士は大団円やったのになぜ急に?しかも1作目の前の話。
当時まだバンクシーが日本で知られるようになる前に日本で見つかるところから始まり、
ゴッホや金印まで絡める。ラストはちょっと突拍子もないとこもあるけど、久々の感じで面白かった。


2020年8月



「声なき叫び」
知的障害者が自転車で帰宅の際に警察に暴行を受けて死亡する。目撃者はいたものの
裁判が近づくにつれ、大半が証言を翻す。裏には警察、検察、税務署が動いている気配に加え、
裁判では裁判官までが警察に有利にしていこうとする。実際はここまで酷い事は
ないかも知れんけど、自白強要による冤罪は数知れず。自分が被害者になったと想像するだに恐ろしい。




「バンチョ高校クイズ研」
卒業した高校に赴任してきた教師が、一時代を築いたクイズ研究会を再興するために、
一癖二癖ある生徒を集めて鍛えていく。早押しの考え方とかが出てて、
なるほどーと思うところも。自分がクイズ好きなので、もっと対戦するところを描いて欲しかったけど、
まあまあ楽しめた。




「高校事変Z」
今回の敵は警察でしかも舞台は甲子園。途中まで目的がつかめずちょっともやっとしたけど、
わかってからは怒涛の展開。無理目なところもあれど、容赦ないところはスッキリする。ラストで
新しい兄弟が出てきてまだまだ続きそう。




「合理的にあり得ない」
ある事件をきっかけに弁護士資格を剥奪された女性が、探偵として1人の助手と活躍する。
1話目は狙いの裏をかく手法で面白かったけど、それ以降は力づくだったりプロセスがわからなかったりで
もう一つと言う感じ。



2020年7月



「ブルーネス」
津波の速報を出すシステムを構築するメンバーの話。地震予知で挫折した主人公や、
はみ出し者が集まってそれぞれの得意な分野で作り上げていく。本の厚みのわりにはちょっと浅いかな。




「航空自衛隊副官 怜於奈」
沖縄の高射群に所属する女性自衛官が、司令官付副官に任命される。
地対空戦術のエキスパートを目指している事から、この異動は
希望するものではないが、以前自分ひこおこしたミスが幅広い知識を
持ち合わせていなかった事によるものと知り新たな仕事に向きあう。
副官がどのような仕事をしているのか、もう少し深く描いて欲しかったけど、
ライトな作品なので仕方ないか。




「神々の遺品」
探偵モノやけど古代文明や宗教が絡んで、なかなか突拍子もない展開やけど、
話自体は面白い。この作者いろんなテイストの話を書く不思議な作家さん。


2020年6月


「留萌本線、最後の事件」
廃線になる留萌本線でハイジャック。犯人と人質、警察の絡む中、交渉役の指名された政治家が
加わって、真相が少しづつわかっていく。そこにつながるかー、見落としてたとラストに言わされた。




「高校事変Y」
今回は修学旅行で訪れた沖縄で、これまで米軍の武器を横流ししていたヤクザと軍事会社を
相手に暴れまくる。終わったかと思いきや全然違う方向から別の事件が出てきて、
そこから更に次に続く展開が。どこまで行ってどう終わらす気なんだろう。楽しみ。

2020年5月



「就業規則に書いてあります!」
今のメインの仕事が管理なので気になって買った。アニメの下請け会社に転職した主人公は、
元の会社で労務管理をしていて、それをかわれての就職。
アニメーターの激務に労務管理と言う全く正反対の戦い。それでも少しづつでも
変えていこうとする意気込みはいい。ラストはだいぶんラッキーな展開やけど面白かった。




「トロイの木馬」
江上剛作品を初めて呼んだのが、ちょっと毛色の違う詐欺師の話。骨太の仕事のストーリーがイメージ強い。
でもまさかのM資金が絡んで、好きな方向に話が進む。詐欺師と言っても金のためではなく、
世の中のためと言うところも良くて、ラストは一気に中心部にまで入り込む。痛快なストーリー。




「AX」
久しぶりに伊坂幸太郎を呼んだけど、やっぱりイマイチやった。前に読んだのが全然やったけど、
これはおもしろそうかなと思ったら、やっぱり薄い。最後に色々繋がったけどおぉ〜という程でもなかった。



2020年4月


「騙し絵の牙」
ちょっと前に同じタイトルの映画をやっていたのを知ってて、普通に小説の映画化と思ってたら、
この本自体大泉洋のあてがきやって、それで当然の映画化やったらしい。人たらしと言われる編集者が、
会社の思惑に踊らされる。映画の予告ではとんでもない騙し方をするように見えたけど、
本ではそれほどでもない。騙したというけれど、それは会社に愛想をつかせて自分で生きる道を
見つけるためで、騙そうと思ってたのでは無いような気がするのは読みが浅いのかな。




「高校事変X」
今回こそ絶体絶命と思ったらそれすらも鮮やかにやり遂げた。裏切りあり、でも友情もありでジェットコースターに
乗ってるような展開で、残虐なシーン満載やのに面白い。まだまだ続くようなので楽しみ。


2020年3月



「生還せよ」
迎撃せよ、潜航せよに続く第3弾。航空自衛官が出向で政府機関の一員として
ファーストミッションで想定外の事態に巻き込まれる。自衛官時代には命令に従って
行動すればよかったのに、自分の判断でより深みにはまり込んでいく。
シリーズ物にありがちで、1作目の迎撃せよが1番面白いかな。




「黒い巨塔 最高裁判所」
白い巨塔の裁判官版でタイトルは黒い巨塔。最高裁判所の内部での権力や思考が描かれてる。
当然フィクションやけど、実際もそれ程違いはないんじゃないかと思うほど生々しい。
第1部は成り立ちや構成でちょっととっつきにくいけど、2部からは原発訴訟に
絡んでドロドロになってくる。これ読んだら裁判官になりたいとは思わないかも。



2020年2月



「どうかこの声が、あなたに届きますように」
元アイドルで怪我をした事で人前に出られなくなった主人公が、違う名前でラジオの
パーソナリティとして仕事を始める。それを聞くリスナーの人生も絡めて話が進んでいく。
神様の御用人シリーズの作者だけあってハートフルな話で、すごくいい。
小学生の時に聞いたラジオ番組と言えばハイヤング京都。くだらない話が面白かった。
高校の時には定番のオールナイトニッポン。中島みゆきや山口良一を良く聞いてたなー。




「Mの暗号」
前に読んだ「Dの遺言」の前の話。4人が集まるところが描かれて、その理由もわかる。
4人がそれぞれ活躍することでM資金に近づいていく。謎を解くにあたって、
ちょっと都合のいいところもあるけど、これまでM資金の物語はいろいろ
見てきてちゃんとした物にたどり着いたのは初めて。こういうのが読みたかった。




「アカツキのGメン」
喫茶店を営む老人3人。実は昔強盗団としてならしていた。甥っ子のために
再度現金輸送車を襲撃することになるが、年で体が言うことをきかない、
ハイテクについていけない。そこをなんとかして襲撃するが。。。
前半は面白かったけど、後半が3人が見た目何もしない展開でちょっと残念。

2020年1月