「アルセーヌ・ルパン対明智小五郎」
ルパンと明智小五郎が対峙する話。小学生の頃に怪人二十面相は
読んだけど、黄金仮面は読んだか定かでない。昔の黄金仮面も
ルパンだったと言う話らしいけど、それをもっと踏み込んだ形に
仕上げたものみたい。ところどころ納得がいかない部分はあれど、
それは無知故か。ラストは、おぉそこに繋がるか!と楽しく読み終えた。



「新人作家・杉浦李奈の推論」
ラノベ作家が盗作事件に巻き込まれて、ドキュメンタリーを書くことになる
過程で人として成長していく。Qやαとは違って人は死ぬミステリ。
純文学の作品の内容がたくさん出てきて、そこは疎い自分としてはちょっと
難しいとこもあった。さてこれがどう続いていくのか、ちょっと様子見。



2021年12月


「降格警視」
左遷でイチ警察署の生活安全課課長としてやってきた主人公。私人逮捕が
好きな整骨医とその受付の女の子。それぞれキャラはあるけど、
話としてあまりひねりもなくて、どんでん返しがあるわけでもなく、
結構淡々と進んでイマイチな感じ。



「凛として弓を引く」
高校入学前に引っ越してきた主人公の女の子が、たまたま散歩で行った神社の一角で弓道に
出会う。体験会に入るも初回は形だけで弓を打つ事ができないのに不満を持つが、同級生に
誘われて続けていくうちに色々なことを学んでいく。自分も何年か前に弓道をやってみたいと
思ったけど、こういう体験会みたいのを探せ出せなくて諦めた。集中力や立ち居振る舞いを身に
つけるのにいいと思うから、この主人公が羨ましい。


2021年11月



「タイムスリップしたら、また就職氷河期でした」
タイトルと表紙の絵から、コメディプラスサクセスストーリーかと思いきや、
タイムスリップした後も結構しんどい人生を送る。自分がバブル時期やったので
氷河期の時代を知らず、こんな人ばっかりじゃ無いやろうけど遠からずなのかと思うと、
自分達は甘いと思わされる。ラストは少しだけホッとできた。



「高校事変11」
まさかまさかのここにきて友里佐知子との関係が明らかに。長男カイトの思惑通りに事が進み、
誰もはむかう事ができない状態で結衣1人で立ち向かうのは痛快。ラストはここから!というとこで終わり、
次は来年の3月発売て先すぎる。今までのハイペースはどうした?



「左京区桃栗坂上ル」
シリーズ第3弾はこれまでとちょっと趣が違ったけど、もちろん龍彦や山根も出てきて、
前の2作も読み返したくなる。京大とはいっさい出てこないけど、寮の雰囲気や通りと
店からしてそれしかない。風景を思い浮かべながら読むとなお楽しい。
解説にも会ったけど、女子読み恋愛小説No1であってもおっさんが読んでも面白い。



「下町ロケット ヤタガラス」
今回も開発にあまり重きは置かれておらず、人との繋がりであったりとか、
会社同士の戦いみたいなところがメインやったじぇど、それでもやっぱり面白かった。
実際に無人のトラクターとかも発売されてるらしく、そう現実とかけ離れた話でも
ないとわかってビックリ。続編をもっと作ってほしい。

2021年10月


「下町ロケット ゴースト」
待ちに待った文庫化。シリーズ3作目はロケット事業が縮小されるかもという中で、
トランスミッションのバルブに挑戦しようかという話。でも開発のシーンは少なくて、
それよりはトランスミッションを作っている会社に降りかかった特許侵害について
対抗するのがメイン。いろんな人の話も盛り込まれてて、これはこれで面白い。
さて続きとも言える4作目が楽しみ。



「ニジュウ 誤判対策室」
警察、検察、弁護士の3者でなる冤罪でないかを調査する組織の話。
殺人の自首をした人間が一転やってないと言い出し、捜査をしても
証拠が出てこない状態で誤判対策室の1人が指名される。
無茶なゲームに誘い込まれ、犯人の行動と言葉に矛盾を感じながら
捜査をしていく。ラストに真実がわかるけど、冷静な人間でも家族の
ことになると無意識に流されてしまうという内容で重い終わり方。



「店長がバカすぎて」
零細書店で働く女性契約社員の奮闘記プラスちょっとしたミステリ。
本屋で働いたりバイトする人はやっぱり本好きなのかな。最近は
ポップとかで推してるのもあるし、本屋によって平積みされてる傾向も違うから、
いろんな本屋に行ってしまう。何回も辞めてやると思いながら都度いろんなことで
続ける主人公の気持ちもよくわかる。最後の章はこういう結末か、とちょっとしてやられた感じ。
それにしてもやっぱり最後まで店長がおもしろかった。


2021年9月



「殺した夫が帰ってきました」
昔に殺したはずの夫が不意に現れた。読み進めていくうちに「ん?」となり、
終わり間近はその先がどう言う展開なのか気になって仕方なかった。
展開に無理があると思ってたところもちゃんと理由があったし、
これはなかなかのミステリ。面白かった。



「千里眼 ノン=クオリアの終焉」
ついにノン=クオリアとの決戦。前作以上の危機で助けも無くどうやって
戦うのかと思ってたら、力任せではなく人の心やAIを逆手にとっての反撃。
メフィストコンサルティングは残るもののこれでひと段落かな。



2021年8月


「囚人服のメロスたち」
関東大震災が起きた時の横浜刑務所で、当時の所長が法律に則り24時間という
期限ながらも囚人を解放したという実話。作者が当時の記録や近しい人への
インタビューを元に物語風に書かいている。物資の引き上げをしたり、実家の
周りの手伝いをしたりなど民衆からも賛辞があった様子。
しかし刑務所から脱走した囚人が略奪をしてるという噂も広がり、(実際
そのような事は無く解放した全員が遅れはしたものの戻っているらしい)
それを法務大臣平沼騏一郎と所長の間で世間をおさめるために本当の事を
隠していたというのは事実なのか少し疑問が残る。



「TACネームアリス 尖閣上空10vs1」
早速続編を本屋に買いに行ったら、前編より倍以上の分厚さ。おいおいと思いながら
読み始めたら、ジェットコースターばりの展開。主人公の戦闘、専用機の中、CCP、
オペレーションルームそれぞれで動きがあって息もつかせぬ流れで話が進む。
もちろん出来すぎな展開がないわけでもないけど、このくらいはちゃめちゃな方が面白い。
さて、これの前日譚はどうしようか。


2021年7月



「TACネーム アリス」
久々の夏見正隆作品。で久々にトラップにかかった。この作家さん、たまに連作やのに
タイトルに前巻とか@とか書かず普通のタイトルにする。今回も半分くらい読んだ時点で
まさか?と思ったら案の定。めちゃ佳境に入ったとこで終わる。きになるやん。
しかもこれの前日譚があるみたいで、そっちも気になるし。それにしても女性の
イーグルドライバーと姉妹を登場させるのが好きな作家や。そこがいいんやけど。



「甘美なる誘拐」
ヤクザが人を誘拐するという話なんやけど、話があっちに行ったりこっちに行ったり、
時間軸もずれたりでとっ散らかってるふうに見える。でも最後になってその理由がわかったり、
トリックのネタバラシも単なる説明で終わってなくて面白かった。途中で挫折して読むのを
やめてしまうと損する本。



「フラッガーの方程式」
冴えない男子高校生の前に、1ヶ月だけ自分が主人公になれるフラッガーシステムの
モニターになってほしいという人物が現れ、密かに想いを寄せる人と仲良くなる為に引き受ける。
物語の中で伏線は必ず回収されるとあったが、これどうやって繋げるん?と思ってたらバッチリ回収した。
もちろんむりくりな面はあれど、それがフラッガーシステムと言ってしまえばもう納得するしかない。
なかなか楽しめた。


2021年6月



「千里眼の復活」
この前の特等添乗員は7年ぶりやったけど、こちらは12年ぶりでもう意味がわからない。
当時と変わらず山盛り人が死んでメフィストコンサルティンググループもちょっとだけ出てくる。
時が流れているのか、仙堂、ダビデ、チェンあたりが出てこなくて残念。今回も時節に合わせて
F-35戦闘機のバージョンアップしたテスト機F-70が盗まれ、それを追って美由紀が活躍する。
パターン的に昔と同じだったので、ちょっと先読みできた点もあり良し悪しかな。
次作でノン・クオリアも出てくるようなので、これで本当の最後かも。



「偶然屋」
偶然と思ってた事が実は人によって偶然を装われてた。その偶然を作り出す仕事の話なので、
もっと軽いタッチなのかと思いきや、話が進むにつれてかなり重い内容に。それぞれの章が
絡んで最終章に。で、あの終わり方。続編を読むか思案どころ。


2021年5月



「逃亡刑事」
刑事殺しの目撃者となった子供と、罠にはめられた女性刑事が逃げながら事件解決を目指す。
登場人物それぞれに色があってテンポも早くて、無茶な、と言うシーンもあるけど面白い。
この作者のこれまで読んだのでハズレがなし。



「神様の御用人 10」
あーあ、ついに読み終わっちゃった。いろんな事が絡み合い、人と神様が
助け合い最後には大団円。当然フィクションなんやけど、この本のおかげで
より神様が近くに感じられてすごく良かった。あとがきのさらに後で
その後を伺いしれたし、もう最高。



「高校事変]」
今回は元スペツナズが率いる軍団と長男を相手にホンジュラスで戦う。
これまで影から援護していた2人の力でより戦闘能力をあげていく。
今回で最終と思ったらまだ続くけど、珍しく発刊は9月とだいぶん先。
どんなストーリーにするのか楽しみ。



2021年4月


「任侠浴場」
好きなシリーズ第4弾。今回は銭湯の再建に乗り出す。でも実際に現場に行って
何かをやり出すのが後半で、これまでのに比べるとちょっと物足りない。
まあ銭湯やとできることは限られてるかな。次はシネマが控えてるのでそれを楽しみにしよう。



「特等添乗員αの難事件Y」
1番読んでる好きな作家なんやけど、この人シリーズ物をいきなり終わらせる癖の持ち主で、
このシリーズも終わった感があまりなかったらなぜか7年ぶりに新刊を出した。
ロジカルシンキングの対極にあるラテラルシンキングで事件を解決していく。事件を解決するより、
添乗員としてお客さんの要望に応えていくときの方が面白くて、そっちメインでもいいのにと思う。



「すごい実験」
珍しく小説以外を購入。ニュートリノに関する事を専門家がわかりやすく
高校生に講義した時の内容を本にしたもの。ニュートリノもクォークも
素粒子ということは知ってるけど何が違うのかを全く知らなかったので
読んでみたら、本当にわかりやすい。途中から突然出てきた名前や、
え、なんでそこそなるの?でわからん事もそこそこあったけど、根本的な
事は理解できたと思う。ニュートリノ以外にも相対性理論やダークマターまで
出てきて、こんな授業を中学高校で聞いてたら、ひょっとしたら全然違う道に
進んでたかも。先生の存在はすごく大きいと感じた。



「僕らだって扉くらい開けられる」
手に持てる重さの物を10cmほど動かせる、相手をちょっとの間だけ金縛りできる、
コントロールの効かない発火などちょっとショボい超能力を持つ人たちの話。
バラバラと思ってたら話がちょっとづつ繋がり、最後の章で1つの目的に向かって助け合う。
この手の類いの作品はそこそこあって、いつも気になって読んでしまう。で、そこそこ面白い。


2021年3月



「倒錯のロンド」
小説を書いた原作者が盗作をされて、そこから物語が広がっていく。読んでる途中で時間が
ずれているのは感じたけど、それがどこが起点になってるのかまではわからなかった。
なかなかはちゃめちゃな展開と結果やったけど、それほど残念ではなかった。
好き嫌いは大いに分かれる作品やと思う。



「お電話かわりました名探偵です」
110番を受ける通信司令室の万里眼と呼ばれる主人公が、一見いたずらかと思うような変な
通報に対して、数分の通話の中で謎を解く。ミス・マープルも真っ青のいぶき先輩に、超鈍感な後輩。
短編はあまり好きじゃないけど、これは面白い。続編ないかな。



「未来職安」
近未来、人口の9割が仕事をしなくても国が支給するお金である程度の生活ができる世界で、
あまり真っ当ではない理由で職につきたい人がやって来る民間の職安での話。
役所の仕事は何かが起きた時に責任を取って辞める事だったり、設定が突飛で面白い。
セリフの一つに、「昔は仕事に就いている人の事を社会人と言ったらしい。
仕事に就いていない子供たちは社会に関与していないとでもいうのだろうか」というのがあって、
なるほど?と思った。他にも普通と思って使っている言葉が、未来では違和感があったりで、
軽い内容ながらもなかなか思わされた。


2021年2月




「内閣裏官房」
自衛隊から内閣副官房のある部署に配属になった女性が主人公。表に出せない案件を秘密裡に処理するが、
存在が知られておらず、知ってる人間からはドブさらいと比喩される。1人の議員秘書の死から話が
広がっていって、新米の主人公が活躍する。実際にこういう部署は存在しないかもしれんけど、似たような事をしてる人は
絶対いると思う。



「アノニム」
久々原田マハの作品。ジャクソン・ポロックのナンバーゼロが発見され、オークションにかけられる。
これに絡む複数の人の駆け引きや思いが綴られる。うまく事が運ぶのかドキドキハラハラ。
細かい描写があまりないのでスピーディーに話が進む。いくつか言葉の意味が回収されない
ままのものがあったり、もうちょっと深掘りしてほしい面もあったけど、概ね楽しめた。



「神様の御用人9」
久しぶりに出たと思ったら黄金の昔に絡む話で、次の巻に続く。黄金の言葉が足りなかったが故に
人間に近づきすぎて、悲しみを増したような気もする。人の子としてどんなふうに解決するのか。
しかも次巻は黄金編最終とは。3月が楽しみ。


2021年1月