「十角館の殺人」
ミステリがすごく好きというわけではないけど、この作品がいろんな所で
紹介されてたので読んでみた。特に新装版は驚きの展開シーンをわざわざ
ページをめくったとこに持ってきたと。ところが読み始めると、登場人物の
名前がカタカナのニックネーム。カタカナの名前を覚えるのが苦手なので
心配してたら、案の定1番驚くシーンをスルーしてしまった。トリックもすごい!
というほどには感じなかったのと、ラストが暗示的に書かれてて理解できず、
モヤモヤして読了。わかる人には面白いんはろうけど、頭の悪い自分には
合わなかった。



「凛として弓を引く 青雲編」
第2弾。高校2年生になった主人公が、学校に弓道部を復活させようとする。
弓道会以外で学校で練習できれば、と安易に考えたものの、いざ同好会と
してスタートしたら当然確立された練習法はないし、自分たちも教えた事が
ないのでいろいろ問題が持ち上がる。本の中でも書いてたし自分の経験も
あるけど、人に教えるとなった時が一番自分が成長するきっかけになる。
廃部になった理由を追いかけるシーンが多かったけど、もっと練習の風景や
成長していく姿も描いてほしかったかな。


2022年12月



「高校事変 劃編 優莉凛香」
高校事変のスピンオフで結衣の妹凛香が主人公。原宿の後、甲子園の
前の時間軸での話。結衣に比べて直情的故に行き当たりばったりで、
でも結衣より自分の好きな物に対してある程度素直なのが感情移入
しやすいかも。パグェのメンバーも出てきて、スピンオフならではの
楽しみ方ができた。



「JK U」
超バイオレンス女子高生第2弾。今回は渋谷109に籠城したヤクザを殺しまくる。
警察の目を欺いた方法はちょっと厳しいところもあるけど、まあ良しとしよう。
でもやっぱり1作目の衝撃が大きすぎて、前作は越せてないかな。珍しく次作の
お知らせが無くこれでおわり?



「同姓同名」
猟奇殺人を起こした犯人と同姓同名だったために人生を狂わされた人が
集まって、今後自由になるために画策する。SNSでの無責任な発言の
恐ろしさを感じた。同姓同名が複数人出てくるため、誰が誰か判別しにくくて、
そこがミソではあるものの理解するのがなかなか難しかった。


2022年11月



「本を守ろうとする猫の話」
古本屋を営んでいた祖父が亡くなり、学校に行く気力がなくなった
主人公の元に話をする猫が現れて、本を助けるための行動に出る。
作者は全くそのつもりはないやろうけど、前に読んでたシリーズの
キツネが猫になり神様が本になった感覚。中に出てくる本は洋書で、
馴染みがないのであまり共感出来ず、作者の思いであるこれをきっかけに
洋書を読むこともない。某シリーズがなかったら、いい話と素直に思えたかも。



「育休刑事」
育休をとって育児に専念する刑事が主人公。奥さんが働きに出てて、
トラブルメーカーの姉が出入りすることで、事件に巻き込まれて
赤ちゃんを抱きながら捜査をする。2話まではミステリプラス赤ちゃんの
微笑ましい描写だったのが、3話の最後あたりで全く想像していなかった
展開に。人の思い込みがモロに出て、やられた感でいっぱい。そこそこ
面白いのが一気にめちゃくちゃ面白いに変わった。



「EV」
トヨトミシリーズに続いて車もの。経産省の若手官僚が、
EVへの転換をしないと日本の産業がダメージを受ける事を
言い続けるが、自動車産業に関わる人間からの反発をくらう。
お仕事小説にありがちな、質の高い人間関係で乗り切るけど、
これはこれで面白い。実際でも急速充電とその電気をどうやって
作り出すのか、問題は山積みのはず。でも世界の潮流はEVなのか?



2022年10月



「トヨトミの逆襲」
前作の最後でFCVを押し進めると宣言し、社長も心を入れ替えたかと
思ったが、趨勢はEVとなり社長の周りは反対意見を言わないものばかりで
占められ苦境に追いやられていく。前作のようなスピード感はないものの、
人の動きやモノづくりが語られていてこれはこれで面白かった。
現実としてもEVが主流になってきてるっぽいが、私はFCVがいいと思うんやけどな。



「トヨトミの野望」
愛知県の自動車メーカーで初めて一族以外の社長が起用され、
八面六臂の活躍からいきなり降ろされるが。。。マスキー法の
時代からEVまでの長い時間の話をものすごく早い展開で進んで
いくけど、全てが単刀直入で面白い。90パーセントが某自動車
メーカーで実際にあった話、みたいな噂もあるらしいけど、
それが本当ならこんな時代や一族に翻弄される人生はよほどの
覚悟がなければあっという間に潰れるだろう。会社は良くも
悪くも人で大きく左右されるのが描かれてる。


2022年9月


「イマジン?」
子どもの頃にある事がきっかけでドラマや映画の制作に興味を持っていた
主人公が、バイトの先輩に声をかけられて業界に入っていく。
1話目が「天翔ける広報室」というドラマでの話で、鷺坂ならぬ鷺沼という上司も
出てきてニンマリ。製作と制作の違いもわかってなかったので、
この本で理解できた。イヤ奴も出てきて実際にいそう、とお仕事小説として楽しめました。



「討ち入りたくない内蔵助」
時代劇ものは苦手なんやけど面白そうで買ってみた。
本来はズボラな内蔵助が筆頭家老という役職柄周りの期待に
応えるべく働いていたところに松の廊下事件が起こり、
討ち入りをしたがる家臣をあの手この手で抑える。
1人になった時のボヤキがあまりに面白い。本当はこんな
人物じゃなかったやろうし、忠臣蔵が好きな人からすると
とんでもない作品やけど、思い入れのない自分にとっては
面白い本でした。



「神奈川県警「ヲタク」担当細川春菜」
シリーズ物の1作目でオタクに聞き込みをして事件を解決する。
オタクではないが鉄道の写真を撮るのが好きで買ってみたら、
超マニアックで全くついていけず。録音されていた音が思ってたのと
違ったとか、殺害場所が違ったとか、実際なら科捜研や解剖で
わかるだろと言うのがいただけなかった。



「金庫番の娘」
努めていた会社での不正と対応に納得できず、父親が金庫番を務める
大物議員の事務所で働くようになる。自分の理想のために考え方を
変えて短期間で成長していく。タイトルほど金庫番としては活躍
しなかったのがちょっと残念やけど、それはこの先の話か。色々策を
講じていくのは、ご都合主義もあるものの面白かった。


2022年8月



「掃除機探偵の推理と冒険」
刑事が事故に遭って気がついたらロボット掃除機になっていた、という
裏書きを見て、何だこりゃ?面白そうと購入。姪を守るため階段や諸々の
障害を乗り越えていく。当然ながらご都合的なものはあれど、しっかり
ミステリでかつロードムービーであり、感動もできて想像以上に面白かった。



「信長鉄道 関が原を越えて」
タイムスリップもので続編が出るとは思わなかった。前作から3年ほどが経ち、
苦労の末に(ここは描かれず)製鉄所ができ、レールが作れるようになったことで
最終は木ノ本まで延伸する。有名どころの武将がたくさん登場するものの、
十河たちの影響か時間が少しずれ始めた事でどうなるのかワクワク感がある。
どうもまだ続きそうで、ひょっとすると次作は石油が出るところまで攻めて、
油を精製してディーゼルカーも心おきなく利用できるようになるかな?


2022年7月



「JK」
松岡圭祐の新しいシリーズで、前シリーズを遥かに凌ぐバイオレンス女子高生が
暴れ回る。なかなかグロテスクな表現も多くて昼ごはんどきに読むのは
若干つらいかも。ちなみにJKというタイトルは女子高生にかけているものの、
本来の意味は別にある。途中までの展開であれこれ予測をしたものの全く違って、
全貌がわかった時には、なるほどねと。突拍子もないのはいつものことなので
すんなり受け入れる。さてこれはどんなふうに話が進んでいくのか楽しみ。



「四畳半タイムマシーンブルース」
森見登美彦の四畳半神話大系とヨーロッパ企画の
サマータイムマシンブルースのコラボなんて
面白くない訳がない。生まれ育った近くの風景が
あちこち出てきて楽しい。色んなところで何か
おかしなセリフが出てきて、それが後になればなるほど、
あーそういう事、と納得がいった。タイムマシンものは
どうしても矛盾が出るけど、そこを気にしすぎると
面白くないのでスルー。河童の伝説の真相がわかった時は、
周りに人がいるのでなんとか声を出して笑うのを堪えた。
ラストの予想はできたけど、それでもなんとも言えずいい気分になれた。



「イントゥルーダー 真夜中の侵入者」
今回も久々の作者高嶋哲夫作品。スパコン開発者の主人公に、
突然存在の知らなかった息子が事故で意識不明という知らせが入る。
その息子もコンピューター関係の仕事をしており、何かの秘密を
知った事で被害をうける。もうちょっと息子がどういう行動を
したのかと言った描写がほしかったかな。全体的に良い人間がおらず、
なんともスッキリしない感じで終わったのが残念。



「お前の罪を自白しろ」
久々の真保作品。ベテラン代議士の孫が誘拐されて、解放するのには
自分の犯した罪をメディアに公開しろというもの。次男の新人秘書が
解決に向けて考え方や交渉術を学んでいく。警察の捜査と政界の
駆け引きでなかなかややこしくて、理解に時間がかかった。
ラストの駆け引きは面白かった。


2022年6月



「キネマトグラフィカ」
老舗の映画会社に入社した5人組のそれぞれのストーリー。
設定が自分と同い年なので当時のことも現在の状況もすごくわかる。
映画もシネコンができデジタルに変わる変遷を嫁さん通じて
知っているので、より自分に近い物語として楽しめた。



「試練 護衛艦あさぎり艦長早乙女碧」
護衛艦あおぎりの第2弾。今回は大半が海上での話で、
トラブルは前回の数倍。それぞれの思いがぶつかって
思ったように事が進まない。女性艦長、飛行長とまだまだ
男社会の中でいかにして理解してもらうかに苦労をする。
ヘリの発着艦やミサイルの回収など、細かに描写されて
いるのでそこも面白い。解説で、他の作者で同じような
自衛隊を舞台とした作品が紹介されてて、そのうちの
ほとんどを読んでて改めて自衛隊モノが好きやと認識した。



「姑の遺品整理は、迷惑です」
今回は亡くなった姑のマンションの遺品整理にてんやわんやの話。
垣谷美雨さんの作品はだいたい奥様視点での煩わしい話なんやけど、
ついつい手に取ってしまう。実際にありそうなシチュエーション
だからこそ話にリアリティがあって、そこに人の良さが加わる事で
なんともほっこりする。

2022年5月



「死にゆく者の祈り」
死刑囚に寄り添う教誨師の僧侶が、昔自分の命を助けてくれた
友人と刑務所で出会い、しかも死刑囚として服役していた。
人を殺めるような人物ではなかった事から、自分の仕事の範疇を
越えて調べていく。ラストが駆け込みのような感じになったのと、
真実があまりにだったのでちょっとだけ残念。でも何事も
逃げるのではなく立ち向かう事で責任を全うする、というのは響いた。



「高校事変 XII」
ついに岬美由紀まで登場して、バイオレンスシリーズの
ヒロイン大集結。あれが伏線でここでこうなるか、と
久々に千里眼の感じ。カイトとの最終決戦も舞台を色々
変えて息もつかせぬ展開。ラスト付近の美由紀のセリフに
ニンマリ。大団円、と思ったら予告でXIIIて。まだ続くの?



「梟の一族」
現代にひっそりと残る忍者の末裔の一族の村が襲われ、
それをキッカケに主人公の女の子が奮闘する。
特殊な体質を持つ一族の秘密を科学的検知から
アプローチするのも面白いけど、敵対する相手の理由が
ちょっと無理があったり、行動も共わなかったりで、
この作者にすると珍しく穴があるように感じた。
自分の読み方が足りんだけかもしれんけど。


2022年4月



「そして、バトンは渡された」
主人公の女の子が小さい時からお父さんが2回お母さんが
1回変わって過ごしていく。前からこの本の存在は知ってたけど、
裏書きを見るとちょっとしんどそうかなと。映画化されて予告を
見ると思ったのと違うっぽいので買ってみた。いい話ではあるんやけど、
こんなにいい人ばっかりに巡り合えるのかというと現実離れしてる。
それでもラストは気持ちよく終われたので良しとしよう。



「護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧」
海自空自ものについ手が出てしまう。女性の護衛艦長に任命された主人公が、
乗り込んで慣熟訓練に出るまでのストーリー。とは言っても今回の大半は
地上だったりまだ沖に出ていない状況。それでも元女性自衛官だった作者だけに
描写が細かくて、乗艦しての点検の様子なんかは緊張感あふれる。
女性だからこその苦労もあり、視点の違いもあり、続編もあるようで
これからも楽しみ。



「神のロジック」
久しぶりの西澤作品。集められた数人の子供が奇妙な生活を送る。
裏書きを見るとミステリっぽかったのに思い切りファンタジーやった。
こんな作風やったっけこの作家。伏線もあぁなるほど〜とは思ったけど、
びっくり仰天でもなかった。設定は、えそんなんあり?というもので
なかなか納得はできひんかも。

2022年3月




「横浜青葉高校演劇部 コント師になる!?」
中学で演劇全国優勝した4人が高校1年で思い通りにできずバラバラになる。
3年になってそれまでのしがらみを超えてコントに挑戦する。師匠やライバル
その他キャラクターも良くて、単純なストーリーとありがちな展開ではあるけど、
青春というのも含めていい感じ。



「名探偵誕生」
主人公が小学生から大学生にかけて、隣に住んでいるお姉ちゃんが
あらゆる事件を、話を聞いただけで推理して解決してしまう。
恋心を抱きながらも、お姉ちゃんを守るために自らも成長していく。
でもラストはちょっと悲しくて、もっとご都合主義でもよかったかも。



「退職者四十七人の逆襲」
外国で罠にはめられ逮捕された社長と会社を助けるために、社員が団結して
汚名をはらすストーリー。タイトルにあるように、忠臣蔵をモチーフに
作られてるけど、討ち入りにあたる敵陣乗り込みの方法はなかなか突拍子がない。
とは言えそれが小説としての面白さやし、日本人好みの展開で、じゅうぶん楽しめた。


2022年2月


「ある男」
小さい次男を亡くしたのちに旦那とも離婚した女性が、実家で
出会った男と結婚し娘を授かるも、今度はその結婚した男が
事故で亡くなる。だがその男は名乗っていた人物とは別人で
あることがわかり、弁護士に素性を調べてもらう。ここからは
弁護士がメインとなって、話が進んでいく。裏書を見たら
サスペンス風だが、実際はけっこうヘビーなヒューマン物。
それでも最後はそうであってくれたらいいのに、と思わせる
終わり方で少し救われたかも。



「お電話かわりました名探偵です リダイヤル」
シリーズ 2作目。前回に続き、自分が誰に惹かれているかも気づけない
主人公に周りもこっちもやきもき。事件の謎解きとしては前作の方が
面白かったかも。それでも第3弾を期待する。



「三千円の使いかた」
3世代4人の女性がそれぞれお金をどう貯めるか、どう使うか、
そこに家族や友人との人間関係も絡まって話が進んでいく。
3000円と言えど、年齢によっては稼ぐのも難しかったり、
使い方によっては未来が開けることもある。読み終わって
もっと使い方を考えな!と思えたらいいんやろうけど、
これまで節約もしないけどそんな散財もしてないつもりの
自分としてはそこまでではなかったかな。裏では嫁さんは
実は苦労してたりするんだろうか?


2022年1月