「傍聴者」
関係を持った男性が3人練炭で自殺した事での裁判にまつわるストーリー。
最初に感じた違和感は人格が違うから別の人の話が並行して描かれてる
のか?と想像。結果はだいぶん違ったものの、途中で半分くらいはわかった。
でも最後の展開は流石に想像つかないし、そんな事ある?とちょっと
突飛すぎるかな。



「容疑者Xの献身」
ガレリオシリーズで長編の1作目らしい。湯川と大学の同級生にして
数学の天才が殺人事件に自ら巻き込まれていく。とんでもないトリックと、
それに気づく湯川のやりとりも面白い。実際の捜査やと気づかれる
可能性はあるけどそんな野暮なことは言わない。ラストは石神に
とって残酷やけど、当人の性格をしっかり理解してたらもう少し違う
方法を思いつけたのかも。



「コーチ」
初堂場瞬一作品。主人公は警察の人事課からコーチとして派遣される
元捜査一課員。お仕事小説でありながら事件の捜査も並行して描かれる
ちょっと珍しいタイプで面白かった。


2023年12月



「猫を処方いたします2」
前に読んだ本の続編。今回はニケ先生にも関わる話があって、
昼休憩中やのに一瞬グッときてちょっとやばかった。猫を
飼っている人間の勝手な思いかもしれんけど、こうであって
くれたらと思う。でもやっぱりまた自分で飼うのは無理。
また続編出るかな。



「復讐は合法的に」
タイトル通り、主人公が依頼を受けて合法的(グレー)に復讐する。
1話目はなかなかな感じで復讐させるけど、2話目以降ちょっと感じが
変わってしまって残念感もある。同じテイストで作るのは難しいの
かもしれんけど周辺の人物も面白いのでひょっとしたら続編もあるかも。



「秋山工務店」
火事で夫を亡くしその実家に世話になる事になった妻と子供2人。
義父は棟梁で厳しく言葉もきついため苦手とする中、いろいろ
もめ事が起きていく。ラストは想像と違って、結果も想定で
しかないので逮捕はできないだろうと。もうちょっとハッピー
エンドでも良かったかな。



「レインメーカー」
幼い子供が具合が悪くなり病院に行くがそのまま死んでしまう。
議員である祖父が病院を訴えると言い出したところから話が
大きくなっていく。こういう話の場合は大概被害者側で進んで
いくけど、これは医者側の弁護士が活躍する。最後はいろんな
思惑が交差しまくってドロドロやけど思ったより面白かった。


2023年11月



「君たちに明日はない」
リストラの交渉をする会社に働く若者が主人公。途中思ってたのと
違って、女性との絡みになってきたので、これが続くの?と
思っていたら、そこからは面談の相手とのやり取りになって一安心。
前半はろくでもない人間ばかりでしんどかったけど、後半は概ね
いい方向に進みそうな展開だったので気軽に読めた。



「高校事変 劃篇 伊桜里」
本編では詳細が描かれなかった伊桜里の話。劃篇としては初めて
シーズン2の中での話。久々に結衣の活躍があるのでテンションは
上がり、ラストで本編に絡む可能性も示唆してるので、今後も楽しみ。



「猫目荘のまかないごはん」
訳あって料理は一切しない主人公が、まかない付きの下宿暮らしを
始める。距離感が絶妙に離れた下宿人と付き合ううちに、自分を
見つけ出していく。人との交流で自分を変えていくきっかけを作る。
ラストも大団円ではないものの、頑張れ!と声をかけたくなる本でした。



「復讐の協奏曲」
御子柴シリーズ第5弾。今回の依頼人は事務員の洋子。ネットで
踊らされた人が御子柴に懲戒請求書を発送。それに端を発して
洋子が事件に巻き込まれて、洋子の過去もわかる。最初から
ぐいぐい話が進んで、休み時間の1時間と言う縛りがなかったら
一気に読んでしまいそうになる程毎回面白い。とりあえず
今発刊されてるのに追いついてしまったので、次回作が待ち遠しい。


2023年10月




「読書嫌いのための図書室案内」
本を読むのが嫌いな主人公が、ある事がきっかけで図書委員に
なって、図書新聞の復活を命じられる。途中まで女子生徒との
絡みが青春っぽかったのに、途中からミステリの感じが匂ってきた。
読み終わってから装丁をちゃんとみたらハヤカワ文庫やって納得。
読書感想文の捉え方が面白かった。



「高校事変 16」
前作までとは打って変わって第3次世界大戦を勃発させるか
というほどスケールが大きくなった。作中でも自虐のように
これまでのスケールの小ささが語られていて少し笑えた。
初めて結衣と瑠那が対峙してのやり取りも緊迫感があって
ここも良くて、それが最後のシーンにも繋がる。この先に
少し期待が持てたかも。



「モノマネ芸人、死体を埋める」
数年前にメジャーリーグまで行った投手のモノマネだけしか
できない芸人が、その本人といい(?)関係を築いていたが、
殺人を犯した死体の後片付けをさせられるところからおかしくなっていく。
ラストはちょっとこじつけみたいになったのが残念やけど、
途中いろいろ画策するところは面白かった。


2023年9月



「叙述トリック短編集」
叙述トリックばかりですよ、ここに気をつけてくださいよ、と
作者が事前にお知らせして始まる。これまでいくつか
叙述トリックの本は読んだけど、やられた!と感じるものは少なくて、
これもそのうちの一つかな。確かに一つ一つ考えながら読んだらわかる
事はあるんやろうけど、どこにトリックがあるんやろう?とそれ
ばっかり考えながら読み進めるのはあまり好きではない。
じゃあ買うなよという事やけど、同じ作家での短編集という事で
どんな感じかと買ってみたけど、結果はやはり同じでした。



「高校事変 15」
今回は巫女の学校が主戦場なので凛花はほぼ出番なし。
軍人でも倒す瑠那にとっては今回の敵はかるいもんだろう。
そもそもの戦術の立案が悪すぎる。シビックほどの敵には
ならないかも。さてこれがどう続くか。



「侵略者」
好きな作家の待ってた文庫化。しかも正体不明の潜水艦が独立の
ために戦うという、沈黙の艦隊ばり。作者の好きな自衛隊も
当然出てきて、さあどういう展開かと期待してたら、ちょっと
思ってたのとは違った。でも戦闘の緊迫感やミステリ要素、
人の描かれ方も良くて面白かった。

2023年8月



「ひかりの魔女」
離れて暮らしていたおばあちゃんと同居することになった主人公が、
そのおばあちゃんの言動で人を豊かにしている姿を目にする。
そこから家族の困りごとも解消されて、果ては大きなことも。
正直に、人に優しくする事で、本当にこんな事が起こっても
おかしくないと思える暖かい作品。



「悪徳の輪舞曲」
シリーズ4作目。今回は夫殺しで逮捕された実の母親の弁護。
これまでになく冷静に徹しきれないのも致し方ない。導き出された
真実には驚いたけど、そこに辿り着く過程をもうちょっと細かく
描写してほしかった。それでも面白いことに変わりはない。
途中で一つの事実には気付いたけど、それを知るのは読者のみで、
最後に聞かされた御子柴の心中や如何に。今後も楽しみ。




「刑事ダ・ヴィンチ」
東京芸大卒の異色刑事と、昔コンビを組んだことのある主人公で
何やらいわくありげ。最初からシリーズものと謳っているけど、
さすがにちょっと引っ張りすぎな気がする。トリックも視覚的な
ものに当然なるんやけど、おぉ〜!というほどでもなく、ちょっと
期待はずれかな。


2023年7月



「高校事変 14」
新章2作目。登場人物がいろいろ豹変していくのでそこは面白かったけど、
事変とまではいかずちょっと残念かな。凛香が高校生になったからと
いってすぐに結衣ばりになれるはずもなく、瑠那とセットなのも仕方ないか。
これがどう展開していくのか、楽しみでもあり不安でもある。



「スター」
学生にしてぴあフィルムフェスティバルのグランプリをとった2人。
かたや緻密な演出をし、かたや心を動かされるものを映像にしたい。
卒業後有名監督に師事とYouTube運営と袂をわかつがお互いが気になり、
自分の進む道が思うように進めないジレンマを抱える。定年前の自分が
読むと、イヤイヤそれは違うよね、となるけど、主人公と同じ年代の
人が読むと感情移入できるのかな。


2023年6月



「任侠シネマ」
任侠シリーズ第5弾。今回は映画館。これまでとちょっと違って立て直すと
言うよりはテコ入れに近いかも。それでもヤクザ映画は一世を風靡した時期が
あり、組長あたりはど真ん中やろし親和性は今までで1番あったかな。
映画好きの自分としても面白かった。警察側で鬱陶しいキャラが出てきたけど、
そこは甘糟さんがいい味出しててこれもよかった。さて次は何に手を出すのやら。



「恩讐の鎮魂歌」
これまでと違って完全勝利ではなく、御子柴にとっては敗北に近いかも。
真相はわかったものの、人それぞれの考え方に翻弄される。これを糧に
更に進化していくのか楽しみ。



「神様の御用人 継いでゆく者」
好きで読んでた本のスピンオフ。主人公の前の世代の話や、
新シリーズに繋がるであろう話。途中にあるQ&Aも面白かったし、
黄金が逡巡する姿は笑えた。新シリーズが楽しみ。



「高校事変 13」
劃編でスピンオフと思ったら新章突入。この作者でこのパターンは初めて。
結衣を凌ぐスキルで雰囲気的には千里眼シリーズに近い気がする。
前シリーズの登場人物も新たな一面を見せ始めて、どんなふうに
進んでいくのか楽しみ。

2023年5月



「猫を処方いたします。」
心が疲れた人が、噂に聞いた病院に行くと薬の代わりに猫が処方される。
短編でニヤニヤしたり頷いたり悲しくなったり。昔に飼ってた猫を
思い出しつつ、穏やかな気持ちになれました。



「逆転美人」
読んでる途中に確かに違和感はあったものの、そういうもんか、と
スルーしてた。真相にちょっと驚き、トリックにたいそう驚いた。
よくもまあこんな事を考えついて作品にできたもんだ。実際に
このトリックの気づいた人はいるんだろうか?



「うちの父が運転をやめません」
身近な問題を題材にするこの作者。今回は高齢者の自動車事故の
ニュースで、実家の父親に免許返納を勧めるも、本人が納得
しなかったり周りの状況が難しくさせる。どんな方法で父親を
納得させるのかを楽しみに読み進めたけど、だいぶん違う方向に。
話はいいけど、ちょっとその点物足りなかった。


2023年4月



「もうひとつの評決」
親娘が殺害された裁判員裁判で裁判員になった主人公。自分は
無罪票に入れるが多数決で有罪、死刑が言い渡される。そこから
いくつかの事件が起きて、主人公が真相を探る。実際にあの程度の
捜査や裁判で事が進んでいくとしたら恐ろしいものがある、
疑わしきは被告人の有利にと言う原則はどこまで守られているのだろう。



「都立水商!3年A組卒業」
シリーズ最終巻。これまで読んできたのでどうせなら最後までと購入。
3巻目よりさらに行事でのことが中心だったので、単なる学園ものに
なって水商売からだいぶ離れてしまったので残念。



「追憶の夜想曲」
御子柴シリーズ第2弾。今回も事件の真相としてはおぞましいものやったけど、
リーガルサスペンスとしてはすごく面白かった。物語後半の入り口あたりで
真相がわかったのは、前作に比べてわかりやすい場面があったから。
これは作者が意図した事なのか。しかし今回の弁護を引き受けた理由が
わかった時は感嘆した。まだまだ続いているので、この先も楽しみ。


2023年3月



「都立水商! 2年A組」
コロナ禍でいろんな行事が取りやめになる中で、工夫して少しでも
できるように取り組む姿が描かれる。これまでみたいに授業自体が
できないから、そういうシーンは無くて、部活とかの行事にだけ
スポットが当てられたのが残念。でも実際もこんな感じやったんやろうな。



「贖罪の奏鳴曲」
主人公の弁護士は実は少年時代に猟奇殺人を犯していたという設定も
さることながら、弁護した裁判が終わってからの最後の展開が凄すぎる。
ダークヒーローと銘打ってるだけに晴れ晴れとしたラストにはならないけど、
主人公の周りを嗅ぎ回る刑事も面白いし、シリーズ物のようなので、
この後のも読まねば。



「優莉結衣 高校事変 劃編」
スピンオフ第2弾。本編で描かれなかったホンジュラスから日本に帰り
着くまでの話で、当時何で空いてるんやろと思ってた。日本で現れた時の
制服の違う理由がこれでわかる。本編を描いてた時からスピンオフを頭に
入れてたとしたらすごい。北朝鮮に行ってもちゃんと高校事変してるし、
荒唐無稽とわかっていても面白い。


2023年2月



「相続人はいっしょに暮らしてください」
生活費を持ち出す毒父を持つ女子高生が、突然現れた祖母の相続を伝えに
きた女性に連れていかれ、知らない親族と一緒に住みだす。相続モノは
ドロドロの関係が面白いけど、これはちょっと毛色が違って面白かった。



「あの日、松の廊下で」
前に読んだ「討ち入りたくない蔵之助」の前日譚。浅野内匠頭と吉良上野介の
間で何があったのかが描かれているけど、江戸時代のお仕事小説で面白く読めた。
史実上では実際どのような理由で切りつけたのかわかってないらしく、
そこを上手く作り上げたと思う。サラリーマンはおおいに共感できて、
最後もいい感じの終わり方でした。



「オカシナ記念病院」
離島の病院に研修医としてきた主人公が、院長の無理に治療をしないと
いう方針に奮闘、葛藤をする。離島ゆえの昔ながらの人の繋がりがあって
成立することもあり、都会では無理と思いながらも極端ではあるけど
全く間違ってるとも言えない。人によって考え方は違うのだから治療方法も
それと同じ数があってもいいとは思う。



「お電話かわりました名探偵です 復讐のジングル・ベル」
シリーズ第3弾。1、2作目と比べるとちょっとパワーダウンしたかな。
安楽椅子探偵で且つその場でというシチュエーションを続けるのは難しいとも
思う。それでも2人の関係が進んだのはうれしい。これで最後かな?

2023年1月