「ゴリラ裁判の日」
手話ができて高校生くらいの知能を持つゴリラが動物園で射殺された
オスゴリラのために裁判を起こす。カバーを見てもっと笑えるものを
想像してたら、真逆でなかなか考えさせられるストーリーやった。
裁判の最後に弁護人が話した内容は「確かに!」と納得させられる
ものでびっくりした。監修には京都市動物園の名誉園長でゴリラ研究の
第一人者山極先生の名前があって、そりゃそうかと。京都市動物園に
いた京太郎も賢かったなー。
「水鏡推理Z ソヴリン・メディスン
講談社からKADOKAWAに引っ越して久しぶりの新作。今回はコロナの
特効薬を開発中の病院が舞台。これまでのパターンで悪者の予測は
ついてたけど、トリックは2回読んでやっと理解できた。珍しく
ちょっと矛盾もあったけど、まあまあこんなもんか。やっぱりこの
シリーズも1番最初が1番面白かった。て言うか高校事変の続きは?
「人事部長は新入社員」
大手IT企業の社長が世の中の様子を見るのに部下と一緒に電車通勤してる
中で、赤ちゃんが泣き出しそれをとがめる男性を一括する新卒っぽい女性に
出会う。また別の場所で部下が遭遇し、それが自分の会社の新入社員で
あることがわかる。社長として色々考えていたところのこの主人公との
出会いで、研修明けにいきなり人事部長に抜擢する。曲がったことが
嫌いな主人公がこれまでアンタッチャブルとされてきた案件を解決していく。
ただどうも続編がある感じでちょっと消化不良。実際にはあり得ない
シチュエーションやけど、そこは物語として楽しめた。
2025年7月
「誘拐ファミリー」
あくどい事をしている輩を誘拐して身代金をせしめるのを生業にしている
祖父、両親、長男、次男、長女の5人家族が、長男次男のどちらを時期
リーダーにするかを2組に分かれてカルト教団から身代金を取る事で
競わせる。いろんな思惑が絡んで二転三転して最後は大団円やけど、
だいぶん無理があって思ったほど面白くなかった。
「それでも僕は東大に合格したかった」
作者が自分の経験を小説にした作品。いじめられっ子で偏差値35だった
主人公が、中学3年生の時に出会った先生の言葉で自分を変えていくために
東大を目指す。ただ物語は試験が終わったとこから始まって、合格発表
までの数日でこれまでに関わった人と会って自分がどういうものなのかを
見つけ出す話。つくづく人生は出会った人によって大きく変わると思わされた。
「令和中野学校」
東大受験に失敗した帰り道に、強盗を働こうとした数人が逆に殺される
現場の居合わせた女子高生が主人公。令和中野学校という政府機関が
諜報員を育てる所に入って、成長していく。一介の高校生が1、2年で
大人も一目置くような人材に育つとは思えず、だいぶん無理がある。
こんなん書いてんと早く高校事変を終わらせて欲しい。まさか千里眼の
ように途中で終わるのだけはやめて。
2025年6月
「あの子とQ」
万城目学も何作目だろうか。今回の主人公は女子高生の吸血鬼。
現代の吸血鬼の多くは太陽を克服し、人の血を吸わなくても
生きていく術を身につけて人の日常に溶け込んでいる。それでも
17歳に儀式がありそこからトラブルが発生する。今回は吹き出しそうになる
シーンは1個で助かった。ラストはちょっと切ないながらもスッキリで
良かった。
「ファラオの密室」
文庫化待ってた本。古代エジプトの神官が主人公。気がつくと冥界の
神に会い、自分の心臓が欠けている事で審判ができないため、現世に
戻って3日の間にかけらを見つけて戻って来るように言われる。自分が
なぜ死んだかも覚えていない中で、友人や父親に会って何があったのか、
かけらはどこなのかを調べる。その折先日亡くなった先代王の儀式が
ミイラの消失で失敗に終わり、これが自分と関わっている事がわかり
解明していく。死者が蘇るというある種SFぽいが、それ故にできる
ミステリでよくぞこんなの思いついたなと驚き楽しめた。
「凛として弓を引く 奮迅篇」
シリーズ4作目。ついに同好会から部に昇格して、顧問も大学で全国大会に
出たことのある先生に変わった。新歓でのパフォーマンスで新入生が
2、3年生の数より多くなる。そんな中関東大会の出場が決まるが、
1年生からも選手を出す必要ができたことから、軋轢や弓道以外の事で
考えることが多くなる主人公。これぞ青春という感じですごくいい。
関東大会で敗れてもう引退であろう状況でまだ続くみたい。
2025年5月
「うえから京都」
主人公は高知県のイチ職員ながらやり手の交渉人と言われる女性。
京都府知事から呼び出され、都を京都に持ってきたいので舵取りをと
とんでもない依頼を受ける。京都だけでは無理なので大阪と兵庫を
巻き込むが、いつも上から目線の京都が他府県と手を組むのかと訝しむ。
京都と大阪のやりとり、兵庫の一歩引いた立ち位置など関西人だからこそ
笑える。難題を次々解決していく主人公がかっこいい。当然こんな簡単に
話は進むとは考えられへんけど、話として痛快で面白かった。
「マジシャン最終章フィナーレ」
「マジシャン」3部作の最終章。おそらく2作目も読んだはずやけど
内容を覚えてない。主人公の17歳の女子高生がアメリカのマジック大会で
優勝したものの日本では無名のまま。そこに全国の若いマジシャンを
集めて育成すると言う話が来て赴くも。途中でおそらくこう言う
結末やろなと想像はついたものの、マジックへの取り組みシーンは
面白かった。
「猫を処方いたします4」
シリーズ4作目。今回も猫を服用して癒される登場人物たち。その中でも
猫吸いが出てきたのは笑えた。自分が飼ってた時代にこんな言葉は
なかったけど、長毛種を飼ってたらやっていたであろう。主人公の
ニケ先生と千歳さんの展開もそろそろ終わりに近づいてる気配。
元が悲しい発端なので、最後は優しい終わりかを希望する。
2025年4月
「リケジョ!」
理系の女子大学院生が、留学の費用を稼ぐために金持ち小学女子児童の
家庭教師を勤める中で色々事件が起きる。物理や天文学などそこそこ
難しいことも書かれているので、理解しようとは思わずに読み進めた。
ラストは色々話がつながって、いい感じで終わってくれた。
「優莉匡太 高校事変 劃篇」
優莉匡太の若い頃から今に至るまでの話。レンタルビデオ店のくだり
なんかは当時を思い出せて笑った。色々詰め込んでいるので、
1つ1つのエピソードが浅くて劃篇シリーズでは1番良くなかったかも。
本篇をそろそろ出して終わらせてほしいところ。
「その復讐、お預かりします」
裏書を見ると法外な値段を取るが必ず復讐してくれると言う
ブラックジャックの探偵ものかと思いきや、想像とだいぶん違って
ちょっと消化不良。最初はまあまあやったのに、話が進むつれて
「あれ?」となっていった。言わんとするところはわかるので、
主人公の設定を変えれば違う感覚で楽しめたかも。
「救国ゲーム」
限界集落を復活させたヒーローが殺害され、犯行声明には政府に対して
過疎地対策をやめないと過疎地に攻撃をすると。主人公を含んだメンバーが
犯人を探すために奔走し、犯人はわかるが、その後の展開が凄すぎて
主人公は誰なのかもわからなくなる。あまりにも悲しい結末やけど、
作品としてはすごく面白かった。
2025年3月
「写楽殺人事件」
前から気になってたけど、ページの多さに躊躇してた。べらぼうを
見始めたのをきっかけに購入。結果出てくる当時の人間で名前を
知ってるのは有名な北斎、抱一、江漢くらいで他人物の知識が無さすぎて、
当然関係性もわからず、写楽の正体を調べる過程が理解できず。
また書き方のせいか自分の理解力が悪いのか、殺人に関する動きも
イマイチ理解できずでちょっと不完全燃焼。もっと勉強して
再度読んだら面白さがわかるのかも。
「続 存亡」
F35Bが「いずも」と「かが」に配備された設定でのストーリー。
ただいつまで読み進めても敵の島の上陸がなく、これで最後まで
どうもっていくん?と思ったら上陸したところで終わった。
複数刊にまたがるならそう帯に書いて欲しかった。すぐ刊行されるの
ならいいけど次読む時にまた読み返さないと。。。話の中で太字に
なってる箇所が結構あって、あれが何を意味するのか?次を読めば
わかるのか。とりあえず楽しみに待つ。
2025年2月
「お梅は次こそ呪いたい」
シリーズ2弾、他の人形から譲り受けた空中浮遊を駆使して次々呪い
倒すがどれも幸福になってしまう。話の中にちょっとゾッとするのも
あったけど、今回もそれぞれの登場人物に繋がりがあって面白かった。
第3弾も作ってほしい。
「転がる検事に苔むさず」
区検察庁に勤める一介の検事が主人公。部下のちょっとしたミスから
ある事件に関わり、それが特捜部も絡む事件に発展していく。
実はできる人材なのに、自分はそれに気づいておらず、周りのやっかみの
理由も本人は気づいていない。結構地味な展開やけど、それなりに面白かった。
2025年1月